久右衛門の鰹節は、国産鰹節の生産量日本一として知られる鹿児島・枕崎で、水揚げされた鰹を原料として、鰹節まで仕上げます。
鰹節をつくる工程で、鰹を煮釜で数時間かけて煮詰める「煮熟」には、鹿児島県の豊富な質の良い水を使い、鰹を燻製にする「焙乾」に不可欠な薪木は、鹿児島県の山々から切り出した樫やナラ、クヌギの木を使います。仕上げの工程で重要な「天日干し」は、南国薩摩の夏場の強い日差しのもとで干すことで、色が濃く、見た目も味も良い鰹節に仕上がげることができます。
枕崎には、久右衛門の良質な鰹節をつくるための最適な環境が整っているのです。
枕崎の鰹節は今から300年以上も昔、宝永4年に鰹節の製法が伝わってから今まで、工程のほとんどを人の手でつくるという姿勢を貫いてきました。久右衛門の鰹節づくりは、その枕崎が培ってきた伝統を守っています。
昨今では、作業の効率化を図るため機械化や、簡略化などをすることが当たり前になってきています。しかし久右衛門は、伝統製法でしか生み出せない本物の確かな味を、時代が変わっても誰もが美味しいと思っていただける味を、これからも守り続けたいと考えています。
久右衛門の鰹節づくりは、一貫して長年の経験を培った職人が管理しています。鰹節に適する鰹の目利きに始まり、各工程に影響する天候や季節ごとの温度や湿度の変化を職人自身の五感で細やかに感じ取り、日々の鰹節づくりにいかしています。
大きく太い鰹を、専用の身卸し包丁で捌いていく「生切り」という工程では、鰹の頭、背びれ、尾ひれを切り落とし、内臓を取り除き、三枚卸しにして身を四本に切り分けます。鰹の鮮度を保つために、この高い技術を要す工程を何人もの職人たちで、約40秒間で素早く行います。
全ての工程において、機械ではなく長年に渡り鰹節づくり一筋に向きあってきた職人が手塩にかけて行うので、安全で品質の良い鰹節を仕上げることができるのです。
久右衛門の鰹節づくりは、鰹を切り分けて鰹節になるまで約半年~1年を要します。
鰹は1匹ずつ職人が包丁で捌いたものを数時間かけて煮熟します。煮釜から取り出した後、手作業で丁寧に皮や鱗を取り除き、ピンセットで身崩れしないよう骨抜きをし、さらに2~3週間かけて燻します。ここまでの工程で仕上がるのが「荒節」です。その後、荒節の脂など旨みを落とさぬよう表面を薄く削り、「カビ付け」と「天日干し」の工程を何日間もかけて何度も繰り返し行ったものが「本枯節」となります。この節をさらに良質なカビの働きで発酵・熟成させ、最高級の「本枯鰹節」に仕上げていきます。
仕上がった本枯鰹節の断面は美しいルビー色に鈍く輝き、深い旨味と芳醇な香りを放ち、だし汁となった際の透明度が高まります。
久右衛門では妥協を許さず、時間もてまも惜しまずに、高品質な鰹節をお届けできるよう一日一日を積み重ねています。
鰹節などの乾物は、日本で古くから受け継がれてきた食文化であり、健康長寿を支える栄養素が豊富に含まれています。
今を生きる現代人にこそ、日々の食事に取り入れていただきたいと久右衛門は考えます。
余計なものは加えずに、素材本来の旨味をご家庭で味わっていただきたい。体も心もほっとするような、やさしい味わいをお愉しみいただきたい。毎日のお食事づくりにお使いやすい形でお届けしたい。
そんな想いから、削り節をはじめ手軽に使えるだしパック、鰹節でとっただしの風味や栄養価をそのまま長期保存できるフリーズドライ製法を取り入れて、本物の味にこだわりながら時代のニーズに合わせた商品づくりをしています。